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○港(湾)口の幅・形状
〇二層水の密度
○通航船舶の輻婁状況
○推進器の深さ
○船速
○その他の構成要素
などで、これらの相関により幽水の発生・消滅となるのです。
例えば、舞鶴湾は、湖のように広いので流入水が拡散して、二層水の界面が千トン型巡視船「わかさ」の推進器の深さ二・七メートルに達しにくいため、曲水が起きにくく、その代わり一度起こると、湾口の要素もあり、一週間の長期に亘り幽水が継続したのです。
一方、秋田は川港なので流入量が多く、港内が狭いので、同型の「ちょうかい」の推進器付近に容易に達するため幽水がときどき起き、その代わり「水はけの良い港」ゆえすぐ消滅するのです。
なお、密度要素は、二層の密度差が大きいほど幽水が起きやすく、密度差は流入水が純水に近いほど大きくなる理で、結論として曲水は「環境上の水のきれいな港湾」の代名詞となり得るものとも思えます。
逆に、流入水が汚くて密度が海水と同程度であれば幽水速力はほとんどゼロ、幽水と無縁となるでしょう。
また、通常の場合は、流入量要素なかでも降水量要素が最も相関大てしょう。
わが国は、きれいな港湾が多く大雨の後などは相当数の港湾で幽水が起きているのではないでしょうか。
ただ、推進器の浅い小型船は、幽水速力が小さく、簡単に幽水優速が可能なため削りにくいと思います。また、推進器の深い大型船は、幽水の確率は小さいですが、大雨・大水の後など留意の必要があると思います。
深い位置での幽水は、相応に幽水速力が大きく、一ノットに達することもあり得るからです。
船の大小にかかわらず相応の注意が肝要と思います。
2、 幽水の相関域等
地図・海図・水路誌を対照すると、幽水が起こりやすいと思われる港湾がわが国には相当数あることが判ります。
川港や付近に水量の多い川があるところは個々の注意が必要と思います。
3、 幽水の操船安全一八則
船艇の事故には数多くの原因があり、なかには気づかずに幽水に起因した事故発生も懸念され、海上保安官の一人として何とか安全確保の力になりたいと思います。
幽水を対岸の火事とせず「母なる港の一現象」と身近にとらえることが安全につながると思えてなりません。
前回は七則でしたが、秋田での対応を学び、八則となりました。
幽水現象における操船安全八則
T 早めに幽水の特定
U 常に平常心、細心大胆
V 行脚ゼロでは操船困難
W 後進も含め「幽水優速」で操縦性回復
X VW総括して「幽水優速」の活用
Y タグボート・もやい索・錨鎖など有効な外力の活用
Z 大推進器長流による錯覚の防止のため、陸上日標による自船の把握・確認
[ 安全確保像、舵・CPP・計器等の再点横
4、 幽水優速(幽優スピード)
幽水は、前・後進とも幽水速力を超える速力(幽水優速)では起きません。
自船の幽水優速の把握が安全の前提と思います。

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これに自船の推進器深度・真水・

 

 

 

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